ドアクローザーを新しく交換したり、既存のものの調子が悪くて修理したりした後、忘れずに行わなければならないのが「ドアの閉まる速度調整」です。この調整を怠ると、ドアが勢いよく閉まりすぎて危険だったり、逆に閉まるのが遅すぎて不便だったり、ドアクローザー本来の機能を発揮できません。ドアクローザーの速度調整は、通常、本体側面や端面にある調整バルブ(ネジ)を回して行います。多くのドアクローザーには、ドアが閉まり始める際の速度を調整する「第1速度調整バルブ」と、ドアが閉じる直前の速度(ラッチングアクション)を調整する「第2速度調整バルブ」の2つ(またはそれ以上)のバルブが備わっています。製品によっては、一つのバルブで全体の速度を調整するタイプや、さらに細かく区間ごとの速度を調整できるタイプもあります。調整を行う際は、必ずプラスドライバーやマイナスドライバー(製品によって異なります)を用意し、少しずつ回して様子を見ることが重要です。急に大きく回すと、速度が極端に変わってしまったり、調整バルブを破損させたりする可能性があるため注意が必要です。まず、第1速度調整バルブを調整して、ドアが閉まり始める際の基本的な速度を決めます。一般的に、時計回りに回すと速度が遅くなり、反時計回りに回すと速くなりますが、これも製品によって異なる場合があるため、取扱説明書をよく確認しましょう。適切な速度は、使用する場所や人の出入りの頻度によって異なりますが、安全かつスムーズに閉まる速さが理想です。次に、第2速度調整バルブ(ラッチングアクション調整バルブ)を調整します。これは、ドアが閉じる寸前の、ラッチボルトがドア枠の受け座にカチッとはまるまでの速度を調整するものです。この速度が速すぎると「バタン!」と大きな音がしてしまいますし、遅すぎるとドアが完全に閉まりきらないことがあります。気密性や防音性を保つためにも、確実に閉まりきる適切な速度に調整することが大切です。調整作業は、一度で完璧に決まるとは限りません。何度かドアを開閉させながら、バルブを微調整し、最適な閉鎖速度を見つけてください。特に季節の変わり目など、気温の変化によってオイルの粘性が変わり、ドアの閉まる速度に影響が出ることがあるため、定期的な確認と再調整を行うことをおすすめします。