電気錠はどう動くの基本原理を易しく解説

電気錠という言葉を聞いたことがあるでしょうか。オフィスビルやマンションのエントランス、最近では一般家庭の玄関ドアにも採用されることが増えてきた、電気の力で施錠・解錠を行う鍵システムのことです。従来の物理的な鍵(シリンダー錠)とは異なり、電気信号によってドアの開閉を制御するのが最大の特徴です。では、具体的にどのような仕組みで動いているのでしょうか。電気錠の心臓部とも言えるのが、ドアの枠(またはドア本体)に取り付けられた錠本体です。この錠本体内部には、電気信号を受け取って物理的にデッドボルト(かんぬき)を動かすための機構が組み込まれています。その動力源として主に使われるのが、電磁石や小型モーターです。電磁ロック式と呼ばれるタイプでは、強力な電磁石の力でドアと枠を吸着させて施錠します。通電している間は磁力で固定され、認証が成功すると一時的に通電が切れ、磁力が失われて解錠される仕組みです。一方、モーター式やソレノイド式では、認証が成功すると制御部から送られた電気信号によってモーターやソレノイド(電磁石を利用した直線運動装置)が作動し、歯車などを介してデッドボルトを物理的に出入りさせ、施錠・解錠を行います。これらの動作を制御するのが制御部(制御盤)です。制御部は、カードリーダーやテンキー、指紋認証装置などの認証部から送られてきた情報(カード情報や暗証番号など)を照合し、正当なアクセスであると判断した場合に、錠本体へ「解錠せよ」という電気信号を送ります。逆に、不正なアクセスや、施錠の指示があった場合には、「施錠せよ」という信号を送る、あるいは現状維持の指示を出します。つまり、電気錠システムは、大きく分けて「認証部(情報を読み取る部分)」「制御部(情報を判断し指示を出す部分)」「錠本体(指示を受けて物理的に施解錠する部分)」という三つの要素が連携して動作しているのです。これに加えて、システム全体に電力を供給する電源装置も不可欠な構成要素となります。この基本的な仕組みを理解することで、電気錠の利便性や安全性の背景が見えてくるはずです。


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