耐火金庫の捨て方普通とは違う注意点

金庫の中でも、火災から中の物を守ることを主目的とした「耐火金庫」は、その特殊な構造ゆえに廃棄時に特別な注意が必要です。耐火金庫がなぜ火に強いのかというと、その内部に熱を伝えにくい素材、すなわち耐火材が充填されているからです。この耐火材は、多くの場合、気泡コンクリートやセメント系の素材、あるいは砂などが用いられています。この耐火材の存在が、廃棄を複雑にする一因となります。まず、耐火材は通常の金属ゴミとは異なるため、分別して処理する必要があります。金庫を解体せずにそのまま処分する場合でも、受け入れ先の処理施設で適切に分解・分別されなければなりません。この分解作業が、頑丈な鋼鉄製の筐体と内部の耐火材の組み合わせにより、一般的な廃棄物よりも手間がかかるのです。そのため、自治体の粗大ゴミ回収では扱えない「処理困難物」とされることが多く、専門業者への依頼が基本となります。さらに注意が必要なのは、非常に古い耐火金庫の場合、耐火材としてアスベスト(石綿)が使用されている可能性がゼロではないという点です。現在製造されている金庫にアスベストが使用されることはありませんが、製造年が古いもの、特に数十年前の製品などについては、念のため注意が必要です。アスベストが含まれている場合、その飛散防止措置など、専門的な知識と設備を持った業者による適正な処理が法律で義務付けられています。アスベスト含有の疑いがある場合は、自己判断で解体しようとせず、必ず専門業者に相談してください。また、耐火金庫には耐火性能の有効期間があることも知っておくべきでしょう。一般的に、製造から20年が目安とされています。これは、経年劣化により耐火材に含まれる水分が気化し、本来の耐火性能を発揮できなくなるためです。もし処分を考えている金庫がかなり古いものであれば、仮に今後も使用するとしても、その耐火性能は期待できない可能性があります。これらの理由から、耐火金庫の廃棄は、防盗金庫や手提げ金庫以上に、専門的な知識と経験を持つ業者に依頼することが強く推奨されます。金庫の構造と法規制を理解し、安全かつ環境に配慮した適切な処分を行ってくれる業者を選びましょう。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ: