ピッキング対策万全な鍵選びの知識

空き巣の侵入手段としてよく知られる「ピッキング」。この不正解錠の手口から大切な住まいを守るためには、ピッキングに強い鍵を選ぶことが極めて重要です。どのような鍵がピッキングに強く、選ぶ際にはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。まず、ピッキングに弱いとされる代表的な鍵が、古いタイプの「ディスクシリンダー」です。鍵のギザギザが左右対称で、鍵穴が「く」の字型をしているのが特徴です。このタイプの鍵は構造が比較的単純なため、ピッキングの標的になりやすく、現在では廃番となっているものも多くあります。もしご自宅の鍵がこのタイプであれば、早急な交換が推奨されます。同じく刻みキーである「ピンシリンダー」も、ピンの数や配置によってはピッキングに対する耐性が十分でない場合があります。では、どのような鍵を選べば良いのでしょうか。現在、防犯性の高い鍵として主流となっているのが「ディンプルキーシリンダー」です。ディンプルとは「小さなくぼみ」を意味し、鍵の表面に深さや大きさの異なる多数のくぼみが設けられています。内部のピン構造も上下左右など複雑な配置になっているため、ピッキングによる不正解錠は極めて困難です。また、理論上の鍵違い数（作製可能な鍵の組み合わせ）が非常に多いことも特徴で、合鍵の不正な複製も難しくなっています。もう一つ、高い防犯性を持つのが「ロータリーディスクシリンダー」です。これはディスクシリンダーを改良したもので、内部の回転するディスク（タンブラー）が、正しい鍵が挿入された場合にのみ揃って回転する仕組みになっています。ピンを使用しない構造のため、ピッキングに原理的に強いという特長があります。これらの防犯性の高い鍵を選ぶ際には、「ＣＰマーク」の有無を確認するのも一つの方法です。ＣＰマークは、官民合同会議によって定められた厳しい防犯性能試験に合格した建物部品（ドア、窓、鍵など）に表示されるマークで、「防犯（Crime Prevention）」の頭文字をとったものです。このマークが付いている製品は、侵入に５分以上耐えられることが証明されており、空き巣犯が侵入を諦める一つの目安とされています。鍵を選ぶ際には、単に形状だけでなく、こうした防犯性能の指標も参考に、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切です。専門の鍵業者に相談し、自宅のドアや予算に合った最適な鍵を選ぶことをお勧めします。