私たちの生活の安全を守る上で、玄関の鍵は非常に重要な役割を担っています。その心臓部とも言えるのがキーシリンダーです。キーシリンダーとは、鍵を差し込んで回転させることで、ドアの内部にある錠(デッドボルトなど)を操作する部品のことを指します。普段あまり意識することはありませんが、このキーシリンダーは経年劣化や様々な要因によって交換が必要になることがあります。では、具体的にどのような場合にキーシリンダー交換を検討すべきなのでしょうか。最も一般的なのは、鍵の紛失や盗難に遭った場合です。たとえスペアキーがあったとしても、紛失した鍵が悪意のある第三者の手に渡る可能性はゼロではありません。空き巣被害などを未然に防ぐためにも、速やかにキーシリンダーごと交換するのが最も安全な対策と言えます。また、長年使用している鍵の抜き差しがスムーズでなくなったり、回す際に引っかかりを感じるようになったりした場合も、交換のサインかもしれません。これは内部の部品が摩耗したり、ゴミや埃が詰まったりしている可能性があり、放置しておくと突然鍵が開かなくなったり、閉まらなくなったりするトラブルにつながる恐れがあります。さらに、防犯性能を高めたいと考える場合も、キーシリンダー交換は有効な手段です。古いタイプのギザギザした刻みキー(ディスクシリンダーやピンシリンダー)は、ピッキングと呼ばれる不正解錠の手口に対して脆弱な場合があります。より複雑な構造を持ち、ピッキング対策が施されたディンプルキーシリンダーや、ロータリーディスクシリンダーなどに交換することで、格段に防犯性を向上させることができます。引っ越しをした際にも、前の住人が合鍵を持っている可能性を考慮し、入居前にキーシリンダーを交換しておくのが賢明です。賃貸物件の場合は、まず大家さんや管理会社に相談する必要がありますが、防犯意識の高まりから交換が認められるケースも増えています。キーシリンダー交換は、専門的な知識や技術が必要となるため、信頼できる鍵の専門業者に依頼するのが一般的です。費用はシリンダーの種類や作業内容によって異なりますが、安全を守るための投資と考え、適切なタイミングでの交換を検討しましょう。
玄関の鍵交換キーシリンダーの基本とタイミング